受験シーズン真っ只中!
4年前、一生懸命勉強してたなぁと思い出した。
その結果、浜松にいることになるとはまだ知らなかった頃の話。
浜松のとある大学の大学院に受験に来た私。
前泊のために浜松駅からホテルに向かおうとしていた。
駅で突然、ホームレスのおじさんに声をかけられた。
「君、浜松の人じゃないね?どこから来たの?」
初めての浜松で、上京したての女の子のように震えていた私に
にこやかに声をかけてくれたおじさんに、一瞬で心を開いた。
「神奈川かぁ、懐かしいなぁ。昔、横浜の孤児院にいてさ・・・」
という具合に、おじさんは身の上話をはじめた。
いじめられたときのこと、その傷がまだ腕に残っていること、
仕事を始めてバブルに浮かれて痛い目にあったこと、
「そのおかげで今じゃ、このザマだ。笑っちまうよな」
大学院に受験できる私なんて、恵まれていると感じた。
20分ほど話し込んだ別れ際、
「あ、悪い。タバコ買いたいんだけど金置いてきちった。1000円貸してくんないか?」
財布を見るものの、1000円札がない。小銭もない。
しょうがないので、買い置きのタバコを一箱あげた。
少し寂しそうなおじさん、でも受験の前日準備もあったのでその場で別れた。
浜松での初めての思い出、今更になって気づいたのだが、
ただの物乞いじゃねーか!!!
でも、浜松に残れるかどうかの瀬戸際にいるので、
そんな思い出もまぁ、いいもんだ。
懐かしくなって、あのおじさんと会った浜松駅の地下道に行ってみた。
まだいた。
俺の顔見て近づいてきた。
ヤバイ、たかられる。
全力で逃げた。