民俗学的創造都市論に向けて


創造都市研究の第一人者、佐々木雅幸先生が最近進めているのが
創造農村。
この言葉を聞いた時は小躍りしました。
日本においてはそちらのほうが受け入れられやすいと思うんです。
そもそも創造都市論は欧米の都市の成り立ちにあったもので、
農村から都市が生まれる日本型の都市には創造都市論は厳しいんじゃないかと思っていました。

そもそも、日本人の生活は多分に創造性に溢れた生活でした。
宮本常一の「生きていく民俗」の中に宝島という島での話が出てきます。
彼らは農業が生活の基本ではあるけれども、家も作るし、船も作る、
島民全体がいろいろな職を掛け持ちしている状態なんです。
一つの職にこだわらない横断的な状態であるから、誰でもが色々なことが出来る。
小作人とは季節労働者だったわけですから、稲作以外の時間で商いをやったり、
別の町で商売をしたりと比較的自由な生活であった。
それが戦後の農地改革によって小作人が土地に縛られることになった。
日本の農業の不幸はそこから始まっているのかなとすら思います。

戦後復興において一つの職に就くこと、それを全うすることは必要であったと思います。
年功序列のシステムはイケイケドンドンの時代には効果的に働いていたわけです。
で、現在。
それがもたらす窮屈さ、会社は個人を守ってくれない時代において見直すべきは、
新しいライフスタイルではなく、もともと日本人が持っていた職業観、生活観ではないかと思います。
昔の日本にもどれ、という乱暴な議論ではなく、日本に合った生活を考えてみたらどうかという話です。
そこで大事になってくるのが民俗学だと思うんです。
その時代、人々はどう生きていたか、生活はどうなっていたのか、
それらを見ることが相対的に今の生活を見直すことにつながるのではないかと思います。

一言で言えば、日本人はもともと創造的な生活を営んでいた、ということです。

少し荒っぽいことを言ってしまえば、
折口信夫のまれびと論で、クリエイティブクラスは説明できますし、
宮本常一の著作はランドリーの「創造的都市」よりも創造的な事例にあふれています。
マクロな創造都市研究であれば梅棹忠夫に見ることができますし、
創造的産業と文化の話であれば網野善彦を読めばいい。

ということで、民俗学にものすごく注目しています。
民俗学的創造都市論というテーマに向けてしばらく頑張ろうかと思います。


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